能・狂言について
能とは
能は、およそ700年前に生まれ、観阿弥、世阿弥などに よって大成された世界で最も古い現存する仮面劇です。2008年にユネスコの無形文化遺産に登録 されました。 能は、見る人が想像して楽しむ芸術です。その想像力へいざなうのが、能面と能装束です。
時に生身の人の顔より複雑な表情を表し、深遠な魂の存 在を感じさせる能面。 能面は、能楽師にとって何より大切なものです。使用する 前後には、能面に対して、そして能面を伝えてきてくれた 先人に対して感謝をこめて必ず礼をします。 能楽師は、能面のわずかな動きで、悲しさや嬉しさなど あらゆる感情を表現します。
能装束は、室町時代、将軍が自分の衣を褒美として与えたこともあり、次第に豪華なものになったとされています。 特に、豊臣秀吉は自らが舞うほど能 に熱中したことで、能装束はより華 麗さ、きらびやかさが増し、美術作品としてもすぐれたものになりました。安土桃山時代(1573~1603)は、わが 国の美術史上において絢爛にして、 豪華な作風の隆盛期でした 。能装束は世界の美術品の中でも贅を尽くした最高峰のものといえるでしょう。能楽師は、演じる演目のイメージをもとに、決められた中から、使用する能面と能装束を決めます。基本の決まりさえ守れば、能面と能装束の組み合わせは、自由であり、能の舞台は、多様にそして、無限に広がるのです。
狂言とは
セリフやしぐさに、謡と舞を加味して表現される「狂 言」。その特徴は「笑い」です。「狂言」は、能と同様に、平 安時代、鎌倉時代の芸能、猿楽から発展した伝統芸能 です。「能」が、謡や舞を通して、人間の本質を表現した のに対し、「狂言」は、笑いを通して人間の本質を描いた劇です。 「狂言」の典型的な登場人物「太郎冠者」を始め、様々な登場人物が織りなす物語は、現代にいたるまで変わらない普遍的な人間の姿です。日常の中から、人間のおかしさ、愚かさを強調して、演じます。
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